数年前にチチェンイッツァを訪れたときの話をしよう。
私は昔、メキシコのオアハカに長期滞在したことがある。なのでオアハカにはメキシコ人の友達もいるし、このときは既にスペイン語で旅行するくらいなら問題なかったことをご了承頂きたい。
今回のメキシコ旅行はズバリ、チチェンイッツァだった。
皆さんもどこかで見たことは無いだろうか。マヤの最高神ククルカンを祀る神殿。
春分の日と秋分の日にピラミッドの影で蛇の胴体が現れる。ククルカンの降臨とも呼ばれている。(私の訪れた日は何でも無い日なので胴体は浮かび上がらなかった)
出 発 前
私の滞在しているオアハカからチチェンイッツァ遺跡のあるカンクンまでどのルートで行くかインターネットで探してみるが高速バスも飛行機も直行便がなくて(現在は飛行機の直行便がある)、結局メキシコシティ経由で飛行機を使って行くことをメキシコ人の友人に伝えると、週に一度、高速バスの直行便が出てるという。
しかも飛行機より断然安いからそっちを使えと強く推してくるのである。
ただ高速バスの時刻表をインターネットで見てもカンクン行きなど無いのだ。
でも友人は時刻表には載ってないけど絶対にあるからと二人でバスターミナルまで行き直接チケット売り場の女性に聞いてくれたら、なんとあるのだ。カンクンまでの直行便が。
週に一度。日曜の正午。
(この辺が何か日本と違ってメキシコを好きな理由の一つでもある)
友人のあまりの推しの強さで予約してしまったが、所要時間は24時間だそうだ。
飛行機だとメキシコシティ経由で所要時間5時間くらい。金額は日本円で約3万円。
一方高速バスは所要時間24時間で金額は12000円ぐらいだ。
その後ホテルへ戻り、チチェンイッツァ遺跡ツアーの申込みをパソコンからカンクンにある日本の旅行会社H・I・Sへ申し込んだ。
楽しみにしているチチェンイッツァなので日本語でガイドしてくれる方が良いと考えたからだ。ただし水曜日のツアーを申し込んだが参加人数が少ないと遂行されないとのこと。でも折返しのメールで遂行できるとのことだったので一安心だ。
オアハカからカンクンヘ
小さいバックパックに2,3日分の下着とサンダルを詰め込んで11時ころバスターミナルへ。
大きな荷物は友人のところに置いてある。またオアハカには戻ってくるつもりだからだ。
朝食もまだだったので売店でサンドイッチとか買って頬張る。
時間になりバスに乗り込む。
全員が乗車したら職員の方が防犯上の理由からビデオカメラ片手に全員を写しに廻る。サッと写すだけだので初めての方は緊張するだろうが心配しないでほしい。
乗客は10人程度だろうか。2人掛けの椅子に1人で独占できる状態である。
ただ最後列に交代のドライバーが彼女と座っているのはメキシコだからだろうか。
バスは基本別の都市のバスターミナルまでは止まらない。
バスの後ろにトイレが付いているのでトイレ休憩などはない。
高速で一度だけ食事休憩または買い出し休憩で止まっただけだ。なので何も食べないで正午発のバスに乗るなら前もって食べ物を用意したほうがいいだろう。
出発して程なくすると車内が段々寒くなってくる。冷房をキンキンに利かせるので長袖・長ズボンは必須なのだ。
バスはタバスコ州からユカタン半島の右側キンタナロー州方面へ抜けてプラヤ・デル・カルメン、カンクンへと向かうルートだ。
ちなみによくスーパーなどで見かけるタバスコはタバスコ州の唐辛子が使われたからだと言う説があるのをご存知だろうか。
バスの中では日中は映画のビデオを流していいるのでそれを見たりスマホで音楽を聞いたり、寝たり起きたり。まったりした時間を過ごすことになる。
次の日の午前中どこからか忘れたが結構乗客が乗ってきて私の隣におばちゃんが座って来た。
おばちゃんは親切心からか色々話しかけてくる。この辺はパイナップルが特産だからと言ってバスの外の畑を指差し日本ではよく食べるのかとか。
少し眠かったがスペイン語の勉強にもなると思い少し会話に付き合うことにした。
おばちゃんは次の町へ孫に会いに行くという。
なので少し驚いた様に「孫いるの⁉ 全然そんなふうに見えないよ!」と言うとおばちゃんが「あらやだ。あなたうまいわねー」みたいなことを言って二人で笑っていたことを思い出す。このへんは日本人もメキシコ人も変わらないのだ。
カンクン
初 日
ようやくカンクンに着いた。友人には悪いが正直、飛行機でよかった。若者ならまだしも中高年なら飛行機を勧めたい。
チェックインまで少し時間があったのでバスターミナルの近くのレストランで昼食を採り、タクシー運転手に予約したホテルのページを見せたらすぐに分かったらしく連れて行ってくれた。なんとも便利になったものだ。
チェックインも済ませまだ日も高かったのでコンビニに買い物がてら少しホテルの周りを散策することにした。
私の行ったときは雨期で観光客も殆どいなく、なのでホテルも比較的安く泊まることができた。
程なく歩くと写真のような看板が目についた。
ワニに餌付け禁止のマーク。ワニがいるのか。
何か日本で山を歩いてて熊注意の看板を見たような感じだった。
それを見てから茂みでガサゴゾなると少し怖くなったりもした。
ホテルの人に聞くと大型のワニはいないけどホテルの裏手は沼になっているので注意してくれとのこと。もちろん遊泳禁止である。
写真のようにイグアナは比較的見ることができる。近づいたら逃げて行くので害はないと思うが、何分野生なので見かけても近づかないほうがいいだろう。
それとチチェンイッツァツアーの予約のときのメールに現地着いたら電話をくれるようにと書いてあったのを思い出してフロントでホテルの女の子に外線のかけ方を聞いたら親切にも直接電話してくれた。
外国のホテルから電話するなんて初心者には随分難易度の高いことだと思い旅行会社のスタッフに私のように電話してくる人は他にいるのか尋ねると殆どいないそうだ。なんか納得できる。
二日目
この日は朝から大雨。どこに行こうか悩んだのだが、カンクンは約50年前に開発されたリゾート地なので古い教会などはなく市場ならまだやってるかもと思いタクシーに乗って市場へ行くように運転手に伝えた。
私はその地で暮らす人の生活感を感じたいので市場へなどへ行くのが好きなのである。
メルカドと書かれているので市場だと思いつつ中に入ると私のスペイン語がまずかったのか私が外人からなのか完全に観光客向けのみやげ物店であった。中は広く雨だったためここで結局4時間位過ごすことになるのである。
ここでの注意は売り子の店員は最初ボッタクリの値段を言ってくることだ。その後交渉で安くなるとも言う。なので高いと思ったら絶対に買わないこと。
カンクン以外に行かないのであれば致し方ないが、そうでなければお勧めはしない。中はアメリカ価格である。ちなみにカンクンではUSドルも使える。
この日は結局1日中土砂降りだった。
そそくさとホテルへ戻りインターネットでカンクンのあとどうするかとか考えていた。夕方になり雨も上がり日もさしてきたがこの時間から出かけることもせず近所のレストランで食事を済ませるくらいだ。
明日は雨にならなければよいが...
チチェンイッツァ
この日の朝はどんよりとした曇り空。雨は落ちていない。
ツアーバスがホテルに迎えに来るのだが私はメキシコ時間を知っている。
こんなときメキシコ人なら30分、1時間遅れるのは普通である。
けど日本の旅行会社。5分前に来るのではないかと思い15分前にフロントで待つことにした。
程なくバスが到着。予定時刻の10分前だ。さすが日本人。そのことを旅行会社のスタッフに言うと笑っていた。大型バスにはほぼ満席の状態で日本人が乗っていた。
チチェンイツァまで約3時間。途中1回のトイレ休憩をいれ到着。
幸い雨は振らず雲も多かったため気温もあまり上がらなかった。絶好の観光日和となった。
写真のようにシーズンオフの平日の水曜日なのに流石に人が多い。
遺跡手前ではこの様に両脇にみやげ物の露店が並んでいるのだが中に一人面白い青年がいて、日本人が通ると「おみやげ〜おみやげ〜。いつ買うのっ!今でしょ!」を日本語で連発しているのである。
その可笑しさが私のツボに嵌り何か買ってあげたい気持ちになり、黒曜石の小さい置物(写真)を手にとっていくらか尋ねると200ペソ(約1200円)打という。
こんなの40ペソ(約240円)だろと思い「高いよ」と言うと180ペソだという。私が「50ペソ」と言うと青年は「150ペソ」しかも絶妙なタイミングで「いつ買うのっ!今でしょ!」を日本語で言うのである。
あまりの面白さと他の日本人がどんどん進んで行くので100ペソ(約600円)で買うことにした。
どうしてその日本語を知っているのか聞いたところここへ来た日本人が教えてくれたと言っていた。
彼にその日本語を教えた人に伝えたい。彼の日本語が役立っていることを。
園内に入ると日本人ガイドとメキシコ人スタッフが合流し案内してくれる。私は列の最後尾にいてメキシコ人スタッフと話している方が多かった気がする。
ここでの所要時間は2時間ぐらいだったろうか私には少し物足りない気がした。
一行はこのあと昼食を採りセノーテ(陥没穴に地下水が溜まっった天然の泉)観光に行ってカンクンに戻るのである。
日本人スタッフの対応も良く、タイムスケジュール通りことが運ぶのは流石である。
チチェンイツァ遺跡についてここで書くととても長くなってしまうので気になる方は各自で調べてほしい。
カンクン最終日
今日は朝から晴天だ。なのでビーチまでだらだらぶらぶら歩いて行くつもりだ。海沿いの高級ホテルなら独自のビーチを持ってるので出かける必要はないが安宿なら公営のビーチまで行かなくてはならない。それでも徒歩で15分位である。
ビーチに着くがオフシーズンなので客は数えるくらいしかいない。
レジャーボートの客引きのおじさんが話しかけてくるが、私のようなおっさんが一人バナナボート見たいのに乗ってもしょうがないので丁寧に断った。
このビーチに1時間くらいいただろうか。そんなに暑い日ではなかったのだけど次の日日焼けで背中が猛烈に痛くなたのを覚えている。
終わりに
数年前の写真を下に書いているので情報が古い(情報らしい情報があればの話だが)かもしれないが、ここまで読んで頂いた方々に感謝したい。
このあとメリダ(野口英世が一時期研究のため滞在した町)、カンペチェなど転々と南下しオアハカへ戻るのだがまた機会があったらブログにしたいと思う。